2011年9月17日土曜日

調査研究のテーマ絞り ラーメン食べながら考えてみた

本日亀川教授と調査研究の打ち合わせ。
テーマはなんとなく見えてきて、多分「ブランドコミュニケーションの成功要因の検証」になると思う。
ブランドの価値を定義して、それがどんなに画期的で素晴らしくても、それが消費者に伝わらないと意味がないよね。世の中常にいい製品であっても、その良さがうまく伝わらなかったりすると、消費者に良さが認識されないよね。でもブランド創立者の意図と消費者のイメージが異なることは少なくないよね。結局それでは他社製品との違いを消費者にアピールできないよね。

企業は自社製品の差別化をどこも訴えている。ポジショニング戦略だったり、ブランド戦略とか、名前はいろいろ変わるけど、基本的に他社製品にはない自社製品の特長を訴えることで消費者に選ばれる製品展開を目指している。しかし、実際は製品の違いなんてほとんどないと思う。例えばインテルのプロセッサだろうとADMのプロセッサだろうと処理速度は殆ど変らないと思う(まったく同じではないけど)。サンディスクのマイクロチップだろうと日立のマイクロチップだろうと製品の品質はあんまり変わらないと思う。価格は製品の微妙な違い以上に「異なる」のに、だ。

そこで企業が次に何を考えたかというと、消費者に違いを認めてもらう事だ。機能の面では似たような製品がるけれども、消費者が「違う」と思ってくれればいい訳だ。ここがポイントで消費者が「違うと思ってくれれば」それでいい。それがブランドになる。デビット・エイカーによるとブランドの概念は2つに分けられる。ブランドアイデンティティとブランドイメージだ。企業側がブランドコンセプトにのっとって作るのがブランドアイデンティティで、ブランドコミュニケーションを通して消費者が思い浮かぶイメージがブランドイメージだ。この2つは成功すれば同じになるけど、失敗すると同じにならない。ブランドアイデンティティは当然コンテクストがリッチでポジティブな事柄が羅列されているものだけど、その通りに消費者は受け止めてくれない。それは市場の複雑さ、例えば強力な市場ライバルの邪魔だったり、カルテルだったり、独禁法といった法律、消費者のトレンドなどいろいろ、によって成功するかしないかが決まる。では企業はどのようにしてブランドコミュニケーションを行うのか。ヒントは「消費者の記憶」だと思う。

消費者の記憶は体系的に分けると大きく2通りの分け方が存在する。1つ目の記憶の分け方は潜在記憶と顕在記憶なるなるものが存在する。潜在記憶はサッカーのボールの蹴り方だったり自転車の乗り方、スノーボードの滑り方といった日常生活で特に意識することなく使う記憶。顕在記憶とは想起するという人の意識を伴う記憶だ。顕在記憶のいい例が高校や中学の同窓会で「そういえばさ、修学旅行の二日目にOO君に告白されたよね」といった普段は忘れているが、いくつかのコンテクストをヒントに想起される記憶の事だ。2つ目の記憶の分け方は宣言的記憶と手続き的記憶だ。手続き的記憶とは言語化が難しい、記憶の事。例えばブラインドタッチだったり、のこぎりの使い方だったり無意識で使用する記憶である。この事を踏まえると1つ目の記憶の分けたの潜在記憶はこの手続き記憶と似ている気がする。次に宣言的記憶はエピソード記憶と意味記憶に分かれる。エピソード記憶とは心の絵日記とも言われ、個人的な思い出の記憶である。懐かしの高校校舎を訪ねると、当時のいろいろな記憶がよみがえるであろう。また、当時聞いていた音楽を聞いたりすると聞いていた当時の生活を懐かしく思い出すだろう。次に意味記憶とは強制的に覚える記憶の事である。例えば受験の時に無理やり覚えた記憶がそれにあたる。例えば、「ポツダム宣言が行われた国はどこか?」「ドイツのベルリン」この「ドイツのベルリン」という記憶が意味記憶である。

なぜこんな認知心理学や記憶研究をレビューしているかというと、ブランド認知とは「消費者の忘却のマネジメント」だからである。消費者は毎日いろいろな情報に接する。テレビはもちろんの事、インターネット、電車、ラジオ・・・。とにかくいろいろな情報に毎日さらされている。すべての情報を覚えるのは当然のことながら無理なので、必要のないものは忘れ、必要のあるものを選択して記憶に残す。箪笥の押入れに洋服が全部入らないのと同じで、もう着なくなった服は捨てて、新しく必要な洋服を変わりに箪笥に入れる。企業としては当然忘れないでいつまでも覚えておいてほしい。そこで企業はいかに記憶に残るコミュニケーションを消費者とするかが大事になる。記憶に残るためにはまず、記憶の種類を知る必要があるからだ。あと、どういった情報が忘れづらいのかも研究されている。

記憶を呼びもどす作業の事をリハーサルという。このリハーサルを何回も繰り返すことによって、記憶は短期貯蔵庫から長期貯蔵庫へとシフトされる。そして、精緻化リハーサルというものも存在する。これは、ある情報を既存の潜在記憶と結びつけることである。例えば、1192年鎌倉幕府設立を「いいくに作ろう鎌倉幕府」と語呂=すでにリズムとして体に染みついたものと掛け合わせて覚えやすくする方法。こうすることで企業はより覚えやすいフレーズを創ってそのフレーズにブランド価値やブランドコンテクストをのっけて消費者へと届ける。そうすることで、消費者の脳の中でおこる忘却の波からブランドコンテクストを守ろうとする。したがってブランドコンテクストを消費者へ正確に伝達したいのであるならば、企業はどの記憶を使って、ここがBeef。一番企業があの手この手を使うところだ。ポイントはどうやって忘却を防ぐか、であるという事は企業はどうやってリハーサルさせるのか、を考えてブランドコミュニケーションを創るべきであろう。

いくつかの成功例を見てみるとインテルだったら「インテル入ってる」っていうキャッチフレーズを作ったり、リポビタンDだったら「タウリン1000mg配合」とか謳ったり、パナソニックビューティだったら
「きれいなお姉さんは好きですか」といったフレーズにコンテンツをのっけて消費者にコミュニケーションする。もちろん歌なんか作ってもいいと思う。キャッチーなリズムに乗せてフレーズ化するのもいいだろう。「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」のフレーズも、1、2、3という店舗(潜在記憶)に合わせてブランド価値を伝達している。さらにもっというと、CMを長い間みていなくても、思わず口ずさんでしまう。これはリズムがよく、語呂がいいから記憶に残るからだ。なぜ語呂がいいと記憶に残るかというと、それは消費者の脳内で精緻化リハーサルが行われ、長期貯蔵庫に記憶がシフトされるからである。その記憶に関連し、スキーマが形成され連合ネットワークを通してその情報が商品の違いを生み、差別化を消費者の中で認知させる。

結論として、力強いブランドコミュニケーションを行うには、消費者がどのように情報をリハーサルできるのかを考えなくではならない。なぜならばリハーサルを通してコンテンツが正確に伝わると、消費者が抱くブランドのイメージ=ブランドイメージが消費者の記憶の中に情報として定着する。その記憶が購買選択時に商品を買わせる判断基準になるってしくみ。だからブランドは強い。

0 件のコメント:

コメントを投稿